読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Mrs. Little December

なにか考えたり、なにか読んだり、どこかに行ったり。

文房具が好きな話

f:id:mrslittledecember:20161014220510j:plain

夫はプログラマーである。職業柄なのか、効率を何よりも重んじる性格ゆえなのか、夫は電子機器以外のものになかなか興味を示さない。そんな夫の伴侶となったわたしは新品よりもヴィンテージ物にそそられる、いわゆるとてもアナログな人間である。人並み以上に電子機器は扱えるが、それでもワープロよりもタイプライターが、デスクトップのメモ帳よりもモレスキンが好きな人間なのだ。

 

文房具好きは物心ついたころに遡る。当時お小遣いを1000円もらっていたわたしは、大抵それらを新しい文房具に費やした。新しいボールペン。新しいノート。購入するが、使い切ることはない。ノートを一冊使い切るというのはよほど差し迫った理由(学校の授業で必要だから、とか)がなければ珍しかった。ただ、新しいピカピカのランドセルを試しに背負ってみる小学生のように、新品の文房具をロフトのシワのない黄色い袋に入れてもらって、それを帰宅早々開封するのが一番の楽しみだった。今でもそれは変わらない。

 

ということを思い出したのも、最近、認知行動療法について学ぶなか、「手書きのほうがより効果が得られる」といった文章を散見するようになったからだ。大人になってもわたしの文房具好きは留まることを知らず、その文章を見たわたしはこれこそが好機と様々なサイズのバインダーで手帳をこさえては、認知行動療法そっちのけで認知行動療法に最適な文房具選びと文房具の使途について考察することに精を出すようになり、はっと我に返ったとき、「そういえばわたしは文房具が好きなのだった」と思い出したのだ。

 

年の暮れというにはまだ早いが、ロフトなどの雑貨店は既に新しい手帳を平積みにしている。手帳もまた、わたしの心をくすぐりながらも使い切れないアイテムのひとつで、ほぼ日手帳がリリースされているさまを横目に、なんとか購買欲を抑える日々が続いている。ほぼ日手帳は去年ものの試しに買ってみたのだが、結局1日も埋まらないまま2016年が今日まで過ぎていった。ほぼ日手帳にしろ、モレスキンにしろ、「前から順番にページを埋めていく」という作業が苦手らしい。そこで最近はシステム手帳やルーズリーフに頼って、ページを簡単に入れ替えられるようにと気を使ってみたのだが、それでもやはり手帳や文房具を使わずに溜め込む癖は治らないようである。

 

物心ついてからこの方、この癖が非常に恥ずかしくてたまらなかった。ノートを一冊使い切ることができないのはわたしが病的な完璧主義者で、「ノートに何か書いた瞬間にそのノートの価値を一瞬で失わせてしまうような文字を書くわたしには到底使えません」という本末転倒な思考があってのことである。それでも一般の人々がほぼ日手帳モレスキンを使いこなして、そのページをアップロードしているところを見るのは大好きで、昔のプリクラ帳よろしく、わたしもいつかはそうしてノートをしっかりと(そしてきれいに。フォトジェニックに)使える日が来たら良いなあと思っている。

 

でも自分の、ちょっとした猫に小判的な文房具の愛し方もあってはいいのではないか、と思った。こうしてまたわたしは新しい文房具を求めて、ロフトの文房具フロアをうろうろするのであった。