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Mrs. Little December

なにか考えたり、なにか読んだり、どこかに行ったり。

(3)うつ病と退職と結婚――病気と大きな決断について

うつ病とパニック障害

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わたしはうつ病を患ってから、退職と結婚という人生で一番大きな決断を2度下した。うつ病向けの書籍にはよく、「うつ病の間に大きな決断を下さないこと」という忠告が載っているが、当時わたしは自分の病気についてそこまで理解はしていなかった。それで退職し、わたしやわたしの病気をよく理解してくれている現在の夫と結婚したのだが、当然良かったことと悪かったことがある。また、夫でなければうまくいくことは無かっただろう、ということも。

 

退職を決めたワケ

 

退職を決める直前、わたしは毎日ひどい抑うつ症状に悩まされていた。仕事は手につかないし、定期的に襲ってくる吐き気のせいで、何度もトイレに通った。休憩時には毎日泣いて、そしてこれらの症状は良くなるどころか悪化の一途を辿った。「もうダメだ」と思ったのが、退職のきっかけであった。

 

いきなり退職という選択肢を選んだのは、当時勤めていた会社に人を休職させる余裕がないように見えたこともある。休職がまかり通るような大きな会社であれば、わたしはまず同じ状況の人間には休職を勧めたい。その頃の感情として、わたしは会社に多大な迷惑をかけるダメ人間――実際は、退職を決めたあとのほうが会社に迷惑をかけていたのだが――だとしか思えなかった。少し仕事と距離を置いて休みたい、とか、仕事がつらい、というレベルの話ではなく、とにかく「もうダメだ」と思ったのだった。それで、現在の夫と結婚し、表向きは寿退社ということになった。

 

うつ病と結婚

 

わたしが退職を決めたとき、当時付き合っていた現在の夫との結婚が決まった。当然わたしは唯一の仕事を投げ出すため、一文無しになるところであったし、夫とは既に同棲生活をしていた。退職を決めてすぐにわたしたちは婚姻届を出し、夫婦となったが、人生で一番うれしいはずの結婚ですら、わたしのうつ病はすぐに飲み込んでしまった。わたしをわたしよりもよく知り、わたしの病気についてもわたしより学んでいた夫は、わたしを「療養させる」として、最低で1年間の専業主婦生活を与えてくれた。しかし、これも良いことばかりではなかった。

 

うつ病になると湧き上がる感情のひとつに、「わたしは何もできない」「わたしは普通の人にもなれない」というのがある。専業主婦生活はその気持ちを強めるばかりで、実際にうつ病がひどく何もできない日々が続いた。こんなことなら仕事を辞めないほうがマシだったのではないかと思うくらいだったし、実際、今でも突然退職を決めてしまったことは多大に後悔している。重度のうつ病患者にとって、毎日は自分のことで精一杯だったし、家事もろくに出来なかったから、夕飯が惣菜で済まされることも多々あった。夫は理解してくれているのに、それに応えてあげられないことが毎日辛かった。こうしてわたしが生きていられるのは、夫という人物が特殊だから、という事実に尽きる。

 

うつ病の配偶者を持つには覚悟が必要

 

これは当然のように見えて、うつ病患者自身も、その配偶者もどうしても甘く見てしまうことだと思う。うつ病は回復までに時間のかかる病気だ。1ヶ月も何もせずに休めばそれで治る、ということはない。その間、患者が重症であればあるほど、専業主婦につきものな毎日の家事といったものは期待しないほうがいい。患者はこれから数年間の間、ほとんど配偶者におんぶにだっこの状態で生きていくことになる。この連載のなかで何度も述べているが、うつ病の患者と結婚する、あるいは現在深い関係にあるとしたら、患者自身も含めて、とにかくうつ病について徹底的に学ぶことが重要だ。「知らなかった」では済まされないことが、結婚生活には多々あるからだ。

 

さらに常識的な立場から物を言うとすれば、「うつ病の間は大きな決断は避けたほうがよい」。退職はできれば休職に、結婚はできれば保留にしよう。うつ病の間、環境の大きな変化は悪化の引き金になることしかないからだ。

 

(4)に続く

 

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